この大会ほど現地にいた方を羨ましく思う大会は、近年久しいのではないでしょうか。
それは通常室内で行われ、季節感とは程遠いシチュエーションの中で行われるプロレスというものに、「花火」が加わったからです。
夏らしくもあり、夏の終わりを醸し出す合図のようでもあり、画面越しから良い雰囲気が伝わってきました。
しかし、今年はこれからG1という熱い戦いが始まるわけで、夏の終わりの余韻に浸ってられないもの、プロレスファンとしてはありがたい。
それでは『SUMMER STRUGGLE in JINGU』全試合レビューに入りましょう。
『SUMMER STRUGGLE in JINGU』全試合をレビュー
第1試合 60分1本勝負 スペシャルシングルマッチ マスター・ワトvs金丸義信
グランド・マスターへの道は険しい、だから面白い。
凱旋帰国からスター街道まっしぐらと思っていた矢先、グランド・マスターへの道はそんな簡単ではなさそうです。
試合巧者でもあり、運動能力抜群の金丸選手は誰とでも好試合を作れるのが素晴らしい。
金丸選手には是非シングルのベルトも狙って欲しいですね。
個人的に気になるのは、ワト選手と天山選手の関係性。
レスラーにマネージャー的なレスラーがつくのはオカダ外道・ジェイ外道・EVILディック東郷のように珍しいことではなく、海外のリングでは男子レスラーに女子レスラーがサポートにまわることも良く見られること。
レスラーを引き立てる役、プッシュするレスラーよりも小柄=プッシュするレスラーを大きく見せる視覚的効果、或いは海外のリングなら通訳的な役割もあったりします。
では、ワト選手と天山選手の関係性は、どんな感じなんだろう?
どうしても試合終わりに先輩から駄目だしされている若手というイメージが浮かんでしまって、プッシュという感じがしないんですよねw
これは僕の感じ方なので、皆さんはどう思うのかわかりませんが。
「うっさいんじゃボケ!」
と突然ワト選手が天山選手にブチ切れたら、それはそれで面白そう。
第2試合 時間無制限1本勝負 「KOPW 2020」決定戦4WAYマッチ 矢野通vsエルデスペラードvsオカダ・カズチカvsSANADA
スリリングな展開を繰り広げた「KOPW2020」。
仲間になったり裏切ったり、小気味よく進むプロレスは面白い。
オカダ&SANADAのツープラトンも見ることが出来、そういったおいしいシーンを見れるのもこの4wayの魅力です。
最後は曲者中の曲者の矢野選手が持っていった形となりましたが、オカダ選手が3カウントを取られるとは思ってもいなかった。
最近のオカダ選手はオカダプロデューサーになったり六人タッグに進出したりと、別の顔を見せていますよね。
ともすればシングル戦線に注目がいきますが、別の角度から存在感をぐいぐい上げていたのもオカダ選手でした。
個人的に今後の注目はデスペラード選手です。
ヘビー級のレスラーに3人を相手にするよりも、一対一の方がやりやすいのは明確です。
矢野選手とのリマッチが実現するとしたら、G1明けになるのですかね。
第3試合 60分1本勝負 NEVER無差別級選手権試合 鷹木信悟vs鈴木みのる
この試合を興行のベストとあげる方も多いのではないでしょうか?
まさに男と男のぶつかり合いと言った感じでした。
きちんと自分の戦い方を崩さず勝ち切る鈴木選手のあのスタミナはどこから出てくるのか?日ごろの鍛錬の証ですね。
熱い男から熱い男へバトンパスされたNEVERのベルト。
個人的にはジュニアタッグを返上したばかりのこれまた熱い男SHO選手に名乗り上げて欲しいです。
そして鷹木選手。
丸腰になり、自由を得た今、次なるターゲットを見据えたいところ。
ちょっと長い期間を設けて内藤選手とのベルトをかけた戦いも見てみたい。
第4試合 60分1本勝負 IWGPジュニアヘビー級選手権試合 高橋ヒロムvs石森太二
個人的ベストバウトはこの試合でした。
石森選手もヒロム選手も、ジュニア選手ながらしっかりと間をとったプロレスをしますよね。
ジュニア=スピーディーで飛んだり跳ねたりというイメージがありますが、この二人は緩急の使い方が抜群に上手い。
なので、見ていて飽きない。
この試合にのぞむ意気込みとして石森選手のキレキレボディを目指していたヒロム選手ですが、ファンからは「そのままの体が好き」という声もチラホラ散見できました。
やはりありのままの高橋ヒロムを保てなかった時点で石森選手ペースだったのでしょうか?
ヒロム選手は既にタッグ戦線に標準を定めており、このフットワークの軽さも彼の良いところ。
久しぶりにジュニアベルト戴冠となった石森選手がどうジュニアをけん引して行くのかにも期待。
第5試合 60分1本勝負 IWGPタッグ選手権試合飯伏幸太棚橋弘至ザック・セイバーjrタイチ
ゴールデン☆エースの完全復活がかかった大事な試合、結果はデンジャラス・テッカーズの勝利となりました。
まず特筆したいのが、ザック選手もタイチ選手も「熱い」ということ。
棚橋選手と飯伏選手に何があろうが厳しい言葉を投げつけ、このタッグ戦線を冷まさなかったことに拍手。
タッグチームとしてドンドン前に進んでくるこのスタイルに対抗できるタッグチームは現れるのか?
というか、ヘビーのタッグ戦線は次の挑戦者が全く浮かばないw大丈夫なのか。
一方神継承の儀が進行中のゴールデン☆エース。
完全復活から一時活動休止の流れになってしまいました。
シリーズを通して、棚橋選手のコンディションへの厳しい声があったのも事実。
というか、ここ数年の棚橋選手とコンディションはセットになって議論されますよね。
ただ、キレキレボディ=コンディションが良い、わけではなく、膝も含めどうにもならない部分はあると思います。
が、それでもすごい試合をするのが棚橋選手なんです。
新日本に戻ってくるにあたって、オカダ、ケニー・オメガ、ナイトーの話はたくさん聞いていたけれども、ついにタナハシと対戦できた気分だった。(中略)もちろん先に述べた選手たちと比べると、機動力や可動域に関してもタナハシは劣っているかもしれないが、彼が持つファンとのつながりがリングの中でも感じられて、それが凄くうれしかった。彼が素晴らしいショーマンであることも肌で感じることができた。(中略)今日、タナハシは勝たなかったけども、フィニッシュ以外は全て彼がもっていったんじゃないかという思いすらある。
新日本プロレス公式
引用はクリス・ジェリコ選手のドーム戦後の会見です。
要するに、プロレスはフィジカルだけではないんだよ、ということ。
世界でトップを走ってきた選手にこれだけ言わせる棚橋選手はすごい。
このジェリコ選手の発言は「プロレスの楽しみ方」を提示していうようでもあり、興味深いですね。
まぁこれは日本とアメリカのプロレスの捉え方の違いもあるので難しい問題ですが…。
棚橋選手はそう簡単に沈まない、これが僕の持論です。
第6試合 60分1本勝負 IWGPヘビー級・IWGPインターコンチネンタルダブル選手権試合 EVILvs内藤哲也
前に書いた記事で全力を出し尽くしてしまいました。
ざっくりまとめると、
EVIL選手の覚悟とそれを受け止める内藤選手、結果この二人の優勝
ということです。
いろんな批判があれど、神宮の花火を一段と綺麗に見せてくれたのは、EVIL選手が一手にファンのヘイトを買ったからです。
短い王者期間ではありましたが、彼は元々「闇の王」という称号があるわけで、これからも王に相応しい道を邁進して欲しい。
バレットクラブには「キング・スイッチ」という別のキングもいるので、ユニット内の覇権争いも気になるところです。
そして内藤選手。
そのストーリーテリングの上手さから役者の違いを見せつける結果となりました。
試合中あんなに苦しんでたのに、マイクを持つとケロっとしてしまう姿は、いかに彼の言葉にファンが期待しているかを「ファン目線」で理解している証拠でしょう。
やはり存在感という意味では今の内藤選手を凌駕するのはなかなか厳しいものがある。
G1での勝敗がその後のベルト戦線に鍵になってくるのでしょうが、果たして誰とどんな防衛戦を繰り広げるかにも注目です。
≪END≫
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