プロレス時評

新日本プロレスとAEWの話題を中心にしたプロレスブログ

【またいつか】ジェイ・ホワイトを新日本プロレスで見れたという喜び【Never say never】

2月11日のヒクレオとの試合に敗れ去ったあと、バックスペースにていつも通り長いコメントを発したジェイ・ホワイト。普段なら「俺と共に呼吸しろ」とファンに投げかけることを口癖にしていた彼には珍しく、まるで彼自身の呼吸が困難になってしまっているかのように、饒舌さは影を潜めていました。「ブリーズ」という言葉が、まさかこのような形になって彼に返ってくるとは、彼自身は予想していたのでしょうか?

 

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全てはジェイ・ホワイトの手の中

ヒールが支持を得るとダークヒーロー化=良い人要素が垣間見えてしまう昨今のプロレス界にあって、完全に悪役を貫いたジェイ・ホワイト。この「悪役」という言葉に違和感を覚えるプロレスファンもいるかも知れませんが、あえてここは悪役と書きたいと思う。王子様のようなルックスのヤングライオン時代から、髭をたくわえ悪の道を突き進んだバレットクラブ時代に至るまで、彼のセルフプロデュースは完璧だったのではないか。現に、今この瞬間ですら彼のサイコロジーの中にファンは飲み込まれているのかも知れない。SNS全盛にありながらあまりプライベートを公にしない彼の在り方も、そのミステリアスな存在に大きく寄与したと思う。やはり彼には「その先」を見据えた何かがあったのではないか。

 

献身性

大舞台でヒールがベビーに負ける。ヒールレスラーにとってこれほどの栄誉はない。しかし、なぜか妙にベビーフェイス臭を醸し出すヒールレスラーが多くなってきた今、やはりジェイ・ホワイトという存在は異質でした。ここで「献身性」という言葉を使うと多くの誤解を生むかもしれませんが、彼の存在があったからこそ飯伏幸太も内藤哲也もオカダカズチカも輝けたのではないか。全てがジェイ・ホワイトの手柄ではないにせよ、ヒールの親玉としての役割は十分すぎるほどでした。そしてまた、それこそプロレスを見る醍醐味だとも僕は思っています。勧善懲悪というシンプルな骨組みの中で、ブーイングと声援が入り混じり混然一体となる世界。僕自身個人的な本音を言えば、ジェイ・ホワイトの「悪」に対し、ド正義を叩きつけられるスーパーベビーフェイスの存在があれば、もっと新日本プロレスは面白くなっていたと思う。

 

【円満退社】ジェイ・ホワイトを新日本プロレスで見れたという喜び

ヒクレオ戦後、実況席にいた棚橋弘至と交わしたグータッチ。これが「円満退社」を物語っている。棚橋弘至も納得せざるを得ないほどの仕事を新日本プロレスでジェイ・ホワイトはやり遂げたのです。かつてNJPWストロングの解説でジェイ・ホワイトという存在について聞かれた柴田勝頼は「身体をみればわかる」と言っていたように、その饒舌さだけではなく心身ともに完璧なプロレスラーとしてファンに夢を与えてくれた選手でした。プライベートで辛いことがあっても微塵もそれを公にしない彼のプロレスに対する信念は、日本という国をでて世界に行ったとしても充分に通じるものがあると僕は思っています。次はAEWかWWEか。近くエディ・キングストンとの試合が組まれていますが、それがAEWへの布石となるのか。或いは恩人であるフィン・ベイラーとの邂逅がWWEであるのか。いずれにしてもジェイ・ホワイトの成功を祈るばかりです。世の中に多くの偉人が存在する中で、いずれ偉人になるであろうジェイ・ホワイトという人間の軌跡を同時代に見れたということは幸せに他なりません。しかも彼はまだ若く、今後も多くのプロレスファンに夢を与え続けることでしょう。日本ではもう見れない?いや、プロレスには「Never say never」という言葉があります。またいつか。

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