「サンキューな」から変わった流れ
現在の日本プロレス界においてもっとも成功した人物をあげるとするのならば、僕はその1人に真壁刀義の名前をあげるでしょう。
この記事では真壁刀義の活躍を通して、プロレスラーにとっての成功のかたちを考えてみたいと思います。
学生プロレス出身=雑草
学生プロレスを経て、新日本プロレスのヤングライオンとなった真壁伸也(当時の名前)。
なかなか芽が出なかった若手時代の彼を変えたのは、引退を考えるほどのケガを乗り越え、ハードコアマッチに舵をきったことがきっかけでしょう。
IWGPタッグ王者も獲りヒールユニットで暴れまわる真壁刀義でしたが、突如矢野通の裏切りにあい、その流れはストップしたかのように見えました。
しかし、寧ろこの裏切りが彼のレスラー人生を大きく変えるきっかけになったのかも知れません。
裏切りの戦犯矢野通が中邑真輔と結成したCHAOS。
このCHAOSとの争いは、後に矢野通対真壁刀義というよりも、中邑真輔=エリート対真壁刀義=雑草という構図に変化していきます。
雑草からIWGPへ
2009年のG1クライマックスを制した真壁刀義の印象的な言葉を引用しましょう。
「ホントはよ、オメェらみたいな奴らにゃ死んでも言いたくねぇんだ。死んでも言いたくねぇけどよ、今回ばかりはサンキューな(大歓声&真壁コール)」※オメェら=お客さん※
(引用:新日本プロレス公式サイト)
このリング上での言葉を聞いた時、ヒールで売っていた真壁に対してて
「もしかして良い人なの?」
と思った方も多いのではないでしょうか?
彼はこうも言いました。
俺は、もうG1も終わり、選手(生命)も終わりだと思ったよ。もう辞めようと思った。だけどよぉ、悔しければ悔しいほどよぉ(力が出る)。俺もよぉ、こん なちっちぇ時によぉ、プロレスラーに夢を見て育った。現に俺がレスラーになったろ? 誰に夢を見せんだよ? 見てる奴にだろ。あとは、自分自身だ。人に夢を与える奴がよぉ、テメェで夢見なかったらよぉ、夢なんて与えられねぇんだよ。俺がどうして今日決勝に上がっ て優勝したか分かるか? 客の後押し? 俺の実力? もちろんそれもあるよ。あとは何だ? 時代はよぉ、俺にみてぇなバカな奴を必要としてんだよ。夢のねぇ時代だろ? だから夢を持つんだよ!
(引用:新日本プロレス公式サイト)
現在の二冠王内藤哲也にも通じる「夢」について語った真壁刀義。
ヒールレスラーとして生きながら、表情や言動からにじみ出る優しさとプロレスへの飽くなき情熱。
ヒールとしてどうなのか、という声もあるかも知れませんが、彼への風向きが一気に変わった瞬間でもあると思います。
翌年5月、因縁のエリート・中邑真輔からIWGPヘビー級王座を奪取し、真壁刀義は名実ともに新日本プロレスのトップを掴みました。
エンターテイナーとしての才能
バラエティでの開花
スイーツ真壁として一気に知名度があがった観のある彼の魅力は、その強面のルックスから繰り出される的確なトークスキルです。
プロレスでの経験からか、メディアの中にいてもどっしりとした余裕があり、それでいて人を傷つけるような言動もしない。
真壁刀義も自分がきっかけとなり世間に新日本プロレスを知って欲しいと言っている通り、メディアでの存在感が新日本プロレスの良いアピール=プロモーションにもなっていますよね。
新日本プロレスの公式から発表されたAmazonプライムビデオ『湘南純愛組!』への出演も決まり、その存在はプロレスラーを超えエンターテイナーという言葉が相応しいのかも知れません。
プロレスラーの「成功」とは
僕は以前このような記事をかきました。
要約すると、「ベルトやリーグ戦の優勝だけが成功じゃないよ、記憶に残ることも成功だよ」という記事です。
ベルトに縁がなくても、華々しく飛んだり跳ねたり出来なくても、人々の記憶から消えない存在感もまたプロレスラーとしての成功では、と。
しかし、真壁刀義のようにIWGPのシングルもタッグも巻き、メディアでも大活躍するレスラーもいることも事実。
彼の活躍は歴代の新日本出身の先輩レスラーたちにも勝るとも劣らないものがあると思います。
僕はこのブログの中で彼をエンターテイナーと書きましたが、それは僕の解釈です。
真壁刀義は「プロレスラーはリングが主戦場」という強い信念の元、これからも僕たちファンにリング上で戦いを見せてくれるでしょう。
IWGPというプロレス界の最高峰のベルトを巻いた経験を持ち、現役選手でありながらプロレスと世間を繋ぐ懸け橋として活躍する真壁刀義の存在は、プロレスラーとしての「成功の完成形」の1つではないでしょうか。
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