新日本プロレスファンの中で大きな波乱を呼んでいる「反則・介入の阻止」という提案。この提案とは、昨今横行する反則介入に対し、団体(新日本プロレス)側が何らかの措置をするというものです。具体的な内容は明かされなかったものの、団体側の意図としては「お客様にスッキリとした気持ちでプロレス観戦をして欲しい」という願望が多く感じられました。まさにお客様ファースト。しかし、ここで様々な議論が紛糾していることも事実。その一つ一つは取り上げませんが、僕自身、これは新日本プロレス側からファンへの投げかけでもあると思う点がありました。では本題へ。
岐路に立つ新日本プロレスとファン
「反則・介入の阻止」はプロレスを再考する良いきっかけ
さて、僕自身が感じた今回の「反則・乱入阻止の阻止」に関すること。それは、こんなファンの反応があったな、というものです。
反則・介入を不快に感じてたけれど、阻止とか、そこまでして欲しいとは言ってないんです。だってヒールにもヒールの役割があって、ファンもいて…
こんな感じ。
勿論全部のファンとは言いません。しかし、新日本プロレスは「うまいところを突いてきたな」というのが僕の見解です。
要するに、プロレスを再考するきっかけになる。ヒーローがいて、ヒールがいる。勧善懲悪がプロレスの全てとは言いませんが、それが魅力になっている面もある。ゆえに、「ヒールってなんだろ」ということをファン自身が考える良いきっかけになると思うのです。
HOTのファンからすれば、「そんなにHOTが悪いのか?」という疑問もあるでしょうし、絶対的なヒーロー不在の中ヒールをする選手側の難しさも理解できる。
これは、プロレスというコンテンツを再考する良いきっかけになるのかも知れません。
ダークヒーロー全盛のこの時代、正統派のヒーローは難しい?
どこか悪そうなんだけど、やってることはかっこいい。近年のダークヒーローブームは今後も続きそう。やはり、世間が「正義」というものにかなり懐疑的になっているような気がします。その理由が経済なのか、政治なのか判然としませんが、正義をやっつけるちょい悪な人の方が受けが良い。インフルエンサーでもそういう方は多いですよね。この「純粋な正義」を見失った時代に、正統派のヒーローを作り上げることは難しい。だから相対するヒールの悪行ばかりが目立ってしまい、それを凌駕するスッキリ感を与えることが出来ていないのです。
WWEで大爆発したコーディ。レインズとの長いストーリーの中に、ロック様、シナ、アンダーテイカー、そしてシールド仕様のセス・ロリンズまで登場し、新時代の「正真正銘のヒーロー」誕生へ向けて皆でコーディを後押ししているようにも見えました。感動的なショーでしたね。
話しを戻すと、棚橋社長は「本隊」についても語っていましたが、やはり「正義」というものを新日本プロレス側も大真面目に考えているようにも思えます。ケニー、オカダ、内藤、オスプレイ、ジェイ…皆本隊ではない、ちょい悪なポジションで人気を博してきた。まさにXXスタイルならぬちょい悪スタイル。可能性があった飯伏選手は…。
今、必死に海野選手が頑張っています。彼のIWGPへの鍵は、批判を受けつつも、それをひっくり返すだけの「正義」を表現できるか否かにあるのかも知れません。
岐路に立つ新日本プロレス
それでも僕は応援したい。ファンだから。株価で例えるならば下落傾向にある新日本。あのトルコリラよりも低調かも。しかし、きっとこれは大いなる反発の前ぶれであることを信じたい。
AEWとの関係性、スターダムとの関係性、反則介入問題、社内オペレーションの不手際…数々の問題に直面するこの状況を打破するのは、やはりリングの上です。リングの上が歯がゆいと、皆重箱の隅をつつくような態度になってしまいますからね。
今年の1.4は、久しぶりに「良いプロレスを見た」という気持ちになりました。内藤・SANADA・EVILという「自団体」の選手たちが、それぞれの思いをリング上で表現し、一体となった瞬間があった。誰が欠けても駄目、あれ以上ない組み合わせ。三人が主役。毎回毎回あのようなシーンの連続では胃が重たくなりますが、あれ以後あのような素晴らしいシーンに出会うことはあまりない。
僕は、ブッカーがどうのとか、ストーリーがどうのなどには言及しません。そんなことプロレスでは「大前提」ですから。しかし、反則介入の「その先」が、お客様のスッキリ感とマッチしていない気はする。バッドエンドやハッピーエンドとは割り切れない何かが不足している。スター選手の不在なのか、タイトルマッチの意義的なものなのか、わからない。
人生と同じで、プロレスファンもすべてが幸せになれるとは限りません。誰かが笑う時に、誰かが泣く。もちろんそれをコントロールしているのは新日本プロレスになるわけですが、最近、そのバランスが崩れているのかも知れない。
僕は、この「反則・介入の阻止」という「コンテンツ」を新日本プロレスがどう料理するのか楽しみでもある。
良い方向に進むのか、或いは「黒歴史」となってしまうのか、まさに岐路ですね。
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