キレたSANADAと呼応するEVIL
エレガントにキレたSANADA
12月11日の新日本プロレス日本武道館大会。
高橋ヒロムとエル・デスペラードの感動的な一戦に匹敵するほどのインパクトがあったのは、SANADA選手がキレた瞬間でしょう。
怒り心頭の表情を押し出すわけではなく、攻撃によって怒りを表現するSANADA選手。
本人がモットーとするような「エレガントさ」を感じるキレっぷりでしたが、心中穏やかではない雰囲気が伝わってきましたよね。
普段「頭から落とすだけがプロレスではない」と豪語する彼が、相手選手の頭部にナックルと落とす珍しさ。
なぜSANADA選手はあれほどの怒りをEVIL選手に持っていたのでしょうか?
新世代の出世争いに出遅れたSANADA
オカダ・カズチカを筆頭に、EVIL、ザック、SANADAといった同世代の戦い。
そしてその下にはジェイ・ホワイトやウィル・オスプレイといった「年下の格上」もいます。
SANADA選手は他団体を含むキャリア的にみればもっともエリートですが、新日本プロレスのシングルの栄誉は何も手にしていません。
オカダ選手のライバル、G1準優勝。
そういったふんわりとした肩書があっても、なかなか実績と認められないのが現状です。
一年前はタッグ戦線でともに活躍していたEVIL。
SANADA選手とは違い決してエリート街道を歩んできたわけではない彼が、今年はニュージャパンカップを制し、二冠を含む「三冠」を成し遂げました。
ライバルのオカダ選手はオスプレイ、ザックはタッグ王者…
同ユニットの内藤選手は押しも押されぬ二冠王であり、鷹木選手はNEVER無差別級王者…。
フラストレーションが貯まらないわけがないですよね。
涙を引き出したオカダ、怒りを引き出したEVIL
SANADAは光になれるのか?
武道館大会の前日、その第三試合について上記のような記事を書きました。
第三試合はドームへの布石でしょ、という内容です。
当たる当たらないを言いたいのではなく、僕個人的にはこの二人の争いに「乗れる」んです。
オカダ選手とSANADA選手は同志のような印象があり、そこにドロドロとしたものはない。
昨年10月のオカダ戦で流した涙は、悔しい感情と同様に清々しさもあった。
しかし、EVIL選手とSANADA選手の間には得体の知れない愛憎のようなものを感じるからこそ、この二人の争いに「乗れる」んです。
EVIL選手が影ならば、SANADA選手は光です。
デスペラード選手の言葉ではありませんが、光が強まるほど影は濃くなるものです。
昨日見せた怒りの感情=頭部への執拗なナックルは、SANADA選手が光輝く前兆なのかも知れません。
全ての怒りを東京ドームへ、そしてその先へ
退場の際、SANADA選手とEVIL選手が花道で乱闘した場面。
EVIL選手は途中から張り手でペチペチとSANADA選手を挑発しました。
僕は大げさなエルボーなどよりも、このSANADA選手の気持ちを逆上させるような張り手に「流石EVIL」と感じた次第です。
或いはEVIL選手はそんなSANADA選手を見たかったのかも知れない…。
プロレスとは、どこからがエンターテイメントでどこからが生の感情なのか、いい意味で曖昧なジャンルです。
すべてが演出と言われれば、そうとることも可能でしょう。
しかしながら、SANADA選手とEVIL選手の生み出すこの愛憎は、プロレスがなんたらという建前を超え、見る者をゾクゾクさせる何かがある。
感情の導火線に火がともり、ようやく一歩踏み出したSANADA選手。
その感情はいずれ対峙するであろうライバル、オカダ選手へと繋がっていくことでしょう。
EVIL、SANADA、オカダ・カズチカ。
今後もこの同世代のレスラーたちから目が離せません。
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