巧みにSNSを操るオーカーンとKENTA
プロレスラーとSNSを考える
プロレスラーはキャラクタービジネスです。
技も、コスチュームも、言動も、そしてSNSも何かもが自分のキャラクターを確立する手段。
よってSNSも「プロレスラーとして」発信しているわけです。
僕は、プロレスラーとファンの距離は「あまり近くない方が良い」と思っている人間です。
ワンクッションのみならず、ツークッションくらいあっても良い。
なぜ距離を保った方か良いのかというと、プロレスラーは良い意味で非現実的な存在の方が、見ている側もレスラーも幸せなのでは?という見解からです。
しかし、僕のそういった「後ろ向き」な考え方を余裕で越えていくプロレスラーがいます。
KENTA選手とオーカーン選手です。
人心掌握術を知り尽くした二人
凱旋帰国からものの数日でSNS、いやインターネットの言論空間を支配したオーカーン選手。
公式や記者以外は
— グレート-O-カーン👑 (@Great_O_Khan) 2020年10月19日
オーカーン
で良いぞ
エゴサの時間を食って是非もないのじゃ
今後は #オーカーン でも貼り付け
誉め称えるか、理由のある罵倒を求む 👑
簡単にいうと、ファンの様々な声を「見ている」ということですね。
そしてまた「理由のある罵倒」に該当しなかったものに関しては、リプライもしています。
このような手法は、KENTA選手にも見られますよね。
批判してもいいけど、こっちからも突っ込んでいくよ?的なスタイル。
バレクラ入りやデハポンへの乱入の際ははげしい罵詈雑言に見舞われていましたが、現在はかなり沈静化し、逆にファンが増えたようにも見える。グッズなんて即完売が多いですし。
僕はこれを「ローコンテクスト化」が生み出す産物だと思っています。
「言わなくてもわかる」はもはや通じない
「言わなくてもわかる」のではなく「言ってわからせる」
ハイコンテクストとローコンテクストという言葉。
ハイコンテクストをわかりやすく言えば、言葉にしなくとも分かり合える感覚のことです。文化的なこと、習慣的なこと、共有された価値観によって「言わなくともわかる」状態。
ローコンテクストをわかりやすく言えば、上記のような感覚的ではなく明確な言語的コミュニケーションで分かり合うことです。
プロレスラーに関わらず、著名な人は影響力が強い分一方的に「口撃」を受けやすい。
その殆どは「無視」というやり方で解決されることが多いですよね。
下手に応答してさらに炎上したら…こういった考えもあると思いますし、「一部のファンがわからなくとも、その他のファンは理解している」というハイコンテクストに寄り添っている面もあると思います。
しかし、オーカーン選手もKENTA選手も、言う。
一方的に言われ黙っているのではなく、言う。
その他のファンが理解していようと、そのファンが理解していなければ、言う。
しかも二人は、言語的なコミュニケーションをした上で、その人の理解を促したり、ポジティブな気づきを与えたりする。
僕の私見ですが、今までハイコンテクスト的手法でSNSを使っていたレスラーが多かったことに対して、この二人はローコンテクスト的手法をとっている。
より正確に言えば、ハイコンテクストの領域に踏み込んできたファンが無礼を働いたら、ローコンテクスト的手法で対峙する、というものです。
まさに新時代のプロレスラーの在り方の一つです。
プロレスの本質はリング上にある
小難しい横文字を並べ記事を書いてきましたが、オーカーン選手やKENTA選手の手法は在り方の一つです。
良い悪いではなく、新しい在り方。
僕が言いたかったのはそういうことです。
なので、「全てのレスラーがローコンテクスト的手法を取れば良い」というわけではありませんし、誰しもが出来ることではないと思います。
そもそも、プロレス自体ハイコンテクストなジャンルですし。
僕も試合を見ながら「チッ!」とか「なにそれ?」思うことはあります。
だから、選手に手厳しい意見を投げかけてしまう人の気持ちもすごくわかる。
わかるというか、ファンとはそういうものだと思います。
ただ、その手厳しい意見を選手に投げかけた時、堂々と選手からリプライがくる時代になることもこれからは考えられる。
オーカーン選手やKENTA選手の「巧みさ」を見ていると、そんな時代も近いのかな、と感じた次第です。
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