後藤洋央紀で始まり、内藤哲也で終わったEVILのプロローグ
プロレスラーは超人です。
オカダ・カズチカの有名な言葉です。
しかしそれはフィジカル的な意味だけではなく、メンタル的な意味でも「超人」であると僕は思います。
陽気なヤングライオンだった時代、海外武者修行でプレミアムな男を目指した時代、そして凱旋帰国をして闇の王となり、ついには新日本プロレスのトップを掴んだEVIL選手。
そこにはやはり彼一人では成しえない、プロレスのすばらしさが秘められているのではないでしょうか。
おかえりなさいEVIL
EVIL選手が凱旋してたの頃、僕はEVIL選手のことをよく把握していませんでした。
普通に渡辺選手だと思ってました。
EVILというキャラクターと渡辺選手の違いが風貌以外よくわからなかったのです。
なので、EVILと名乗られてもピンときませんでした。
まだロスインゴが爆発前の段階で、ロスインゴの存在すら頭の片隅だったのでしょう。
しかし、あるシーンがきっかけでEVIL選手という存在が鮮明になった記憶があります。
それは後藤洋央紀選手がEVIL選手の必殺技EVILを食らった瞬間でした。
マットに勢いよく(或いは鮮やかに)たたきつけられた後藤選手を今でも覚えています。
と同時に「ものすごい技を持っている選手=EVIL選手ってすごいのかも」と記憶に刻まれました。
いってらっしゃいEVIL
7月12日の大阪城ホールでの内藤哲也選手とのタイトルマッチ。
ロスインゴ初の同門でのタイトルマッチになるかと思われましたが、前日11日、EVIL選手はバレットクラブ入りしました。
そのバレットクラブのメンバーや新たなるパレハの力を借り、内藤選手を追い込んだEVIL選手。
ボロボロでグロッキー状態だった内藤選手に、EVIL選手は必殺技のEVILをお見舞いしました。
通常ではあり得ない角度、頭から突き刺さるようにマットに叩きつけられた内藤選手は、その凄まじい勢いのままででんぐり返しのようになり、フォールされスリーカウントを聞かされました。
僕には今までのEVILの中でもっとも破壊力のあるEVILに感じました。
プロレスは一人ではできないもの
僕がもう何を書きたいのかは明白だと思います。
それは、プロレスというものは一人ではできない、ということです。
凱旋したての後輩の必殺技を豪快にくらい、EVIL選手を新日本プロレスに出迎えた後藤選手。
ユニット内で成長を見守りつつ、最高の受け身をはなむけの言葉代わりにしてEVIL選手を送り出した内藤選手。
プロレスラーはこういったサーガの中で生きる住人であり、それはずっと受け継がれていくものです。
勿論「プロレスだから」とか「ストーリーがある」といった考えも出来るでしょうし、間違っていません。
しかし、一週間や長くて一か月などそういったレベルではなく、数年単位で展開される物語の中に身を投じるということは、並大抵ではありませんよね。
私利私欲を抑え、相互に思いやる気持ちが無ければ、プロレスラーにはなれないでしょう。
無双状態のEVILに期待
世界のプロレス界で誰しも欲しがる至高なベルト、IWGPヘビー級王座をついに手に入れたEVIL選手。
本人のプロレスキャリアに勲章が加わったわけですが、内藤選手のスマホサイトの最新の日記にもあった通り、ここからが真価の見せどころです。
EVIL選手のプロローグは終わり、「本編がはじまった」というところでしょう。
吹っ切れたファイトスタイルは無双感があり、いい意味で誰がEVIL選手を止めるのかに注目が集まっています。
EVIL選手がむちゃくちゃやればやるほど、対角線に立つ選手も際立っていくし、その選手の大きなチャンスにもなり得る。
新日本プロレスのマットには久しい本格的な悪=EVIL選手が見せてくれる新たな景色に期待していますし、負けないくらい光り輝く善の選手が現れてくることにも期待したいです。
と同時に、今後新日本プロレスのマットでは中途半端な悪や正義のキャラクターは通じなくなってくるかも知れないですね。