『POWER STRUGGLE』全試合マッチレビュー
第1試合 時間無制限1本勝負「KOPW 2020」争奪戦 ノーコーナーパッドマッチ 矢野通 vs ザック・セイバーjr.
『KOPW2020』はなんでもありではありません。
アイデアはなんでもありだけど、それでルールが決まったらその通りやるのがKOPW。
しかしながら、試合ルールの投票制度やノーコーナーパッドなのにコーナーパッドをつけてしまうなど、イレギュラーな部分も目立ちました。
プロレスに限らずどんなことも最初にグダるとどんどんグダっていくものです。
試合自体は面白いし、大掛かりなセットにしてビックマッチ仕様にもできる可能性を秘めた『KOPW2020』なだけに、今一度ルールの確認など必用なのではないでしょうか。
個人的にはザック選手の「プロレスラーとしての幅の広さ」を感じた試合でした。
第2試合 60分1本勝負 NEVER無差別級選手権試合 鈴木みのる vs 鷹木信悟
まっすぐな気持ちのぶつかり合いは見ていて清々しい。
今最も「戦い」を表現出来ているNEVERのベルトだけあって、今回のタイトルマッチもバチバチの試合が繰り広げられました。
終始鷹木選手が一方的に攻めている、とは見えませんでしたが、終盤突如棒立ちのようになってしまった鈴木選手。
以前内藤選手とのIC戦でもおなじようなシーンがありましたよね?
見ていてちょっと心配になりましたけど、すぐツイートしていたので大丈夫?なのでしょうか。
鷹木選手の勝利で試合は終わったNEVER王座戦、鈴木選手は次何を狙うのか?
年内は無理だとしても、来年は是非IWGPヘビー級戦線に絡んで欲しいですね。
王者に返り咲いた鷹木選手は…
BMF.
— Henare | ヘナーレ (@HenareNZ) 2020年11月7日
😤😤😤#njpst pic.twitter.com/agMcxHYcG1
すでに狙いを定められているようです。
第3試合 60分1本勝負 スペシャルシングルマッチ オカダ・カズチカvsグレート-O-カーン
オカダ選手、嬉しかったのではないでしょうか?
それほどオーカーン選手にはプロレスの上手さと将来を期待させるものががありました。
やみくもに力を見せつけるわけでもなく、技を連発するわけでもなく、余計なアピールをするわけでもなく、しっかり間をとって的確に攻めていく。
慌てる部分がまったくなく、見ていてハラハラしない試合運び。
ヤングライオン時代の岡選手ってこんなに良い選手だった?と思わざるを得ない素晴らしいレスリングでした。
そしてオカダ選手。
ドーム二連戦でメインを務め、KOPWを新設し、下の世代の格上げもし、NEVER6メンにも挑戦し、そして凱旋帰国した元ヤングライオンとシングルマッチまでする活躍っぷりの一年でした。
オーカーン選手を下し、英語の先生のような出で立ちのオスプレイ選手と向き合った場面、やはりオカダ選手の貫禄は違いましたよね。
タイトルに絡んでいなくとも、新日本プロレスの大黒柱は揺らがない。
逆にオスプレイ選手はヒールというより「ナチュラルヒール感」が出て来たので、魅力がダダ下がりになってしまわないか心配です。
ヒールになるにあたりジェリコ選手にアドバイスを受けたという噂がありますが、あのシャンパンはジェリコの「ル・シャンピオン」というバブリーギミックのオマージュなのでしょうか。
そのうちイケメン二郎選手やヒロム選手なみの派手なジャケットを着始めるのかな?
第4試合 60分1本勝負 IWGP USヘビー級王座挑戦権利証争奪戦 KENTA vs 棚橋弘至
僕が最も注目していた試合はこの試合でした。
なぜならKENTA選手の意地が見たかったから。
フィンレー選手やコブ選手ならまだしも、新日本プロレスの顔である棚橋選手がUS王座挑戦権利書に名乗り出る。
しかも、棚橋選手には「AEW」というものがちょっとだけチラつきはじめ、もしかすると棚橋選手がジェリコ選手のように両団体の橋になるのか…という前置きがありました。
KENTA選手がここで負けてしまっては、「アメリカ」へリベンジが果たせない。
試合は序盤こそ探り合いが続きましたが、中盤から後半へはじっくりとした攻防。
派手な技を主体とする二人ではないので、僕的には噛み合っていたと思います。
バクステ劇場やSNSの巧みさなど秀逸なKENTA選手ですが、その根底には「再起」という大きな野望があるはずです。
舞台はいつどこになるのかわかりませんが、KENTA選手には是非ジョン・モクスリーを「蹴りまくって」欲しいですね。
第5試合 60分1本勝負 東京ドーム・IWGPヘビー級&IWGPインターコンチネンタルダブル王座挑戦権利証争奪戦 飯伏幸太 vs ジェイ・ホワイト
普段は「プロレス」というハイコンテクストなコンテンツに対し、アレコレとネガティブなことは書いていません。
エンターテイメントなので
「言ったところで」
というものがあるからです。
しかし、セミとメインは若干辛口になってしまうかも知れません。
それは選手個々人にではなく、「在り方」の問題です。
ジェイ選手、普通に勝っても、いや「普通に勝たせても」良かったのではないか?
ジェイ選手に普通に負け、そこから「逆転の飯伏幸太」を発動させても良かったのではなかったか?
あれだけカメラがあって、視聴者もいる中で、「レフェリーが全て」は香ばしい。
ルールなので仕方ないですが、現代的ではないですよね?
いや、あんなふうな勝ち方をしないと次につながっていかないのはわかるのですけどね…。
ジェイ選手のヒールっぷりも好きだし、飯伏選手の神への道ストーリーも面白い。
でも、もっとシンプルに勝敗を決めても良かったんじゃないの?という心境です。
第6試合 60分1本勝負 IWGPヘビー級・IWGPインターコンチネンタルダブル選手権試合 内藤哲也 vs EVIL
去年タイチ選手が内藤選手に優しかったように、今年は内藤選手がEVIL選手に優しかったと思う。
いや、内藤選手はEVIL選手が好きなんだと思う。
終盤のエルボー合戦でEVIL選手に対峙し腕を広げた内藤選手。
「来いよ」
と言わんばかりの内藤選手。
内藤選手はきっとそういう心境のまま、IWGP戦も、神宮も、G1も、そして大阪も戦っていたのではないでしょうか?
そりゃそうですよね、5年近くも苦楽を共にしてきたんですから、気持ちがないなんてことはない。
自ら買って出たであろう内藤哲也の正面にたつという苦難の道を選んだEVIL選手。
このSNS社会、反則攻撃を繰り返したら自分の身に何が降りかかるのか十分わかっていたはずです。
それでも最後の最後まで「何が、何でも」EVILを貫いたことに、彼のプライドと覚悟を感じました。
昨年の『KING OF PRO-WRESTLING』では飯伏選手に敗れ、ドームのメイン争いから陥落したEVIL選手。
今年も同じような結果になってしまいましたが、噛ませ犬になるのはもう十分です。
来年は誰かのストーリーの脇役になるのではなく、是非主役となれるよう立ち上がって欲しいですね。
と
二人だけの展開ならここで終わりなのですが、メインは全体を通してわちゃわちゃしてましたよね?
次から次へレスラーが出てきてファッションショーのランウェイでも見てるのかなと思ったくらいのわちゃわちゃ感でした。
ルブタンもあったし。ついでにイブタンも。
二冠ブーム、反則介入ブームの次はわちゃわちゃブームが来るのでしょうか?
まとめ
良かった試合⇒第3試合 60分1本勝負 スペシャルシングルマッチ オカダ・カズチカvsグレート-O-カーン
良かった選手⇒オカダ・カズチカ&グレート-O-カーン
セミもメインも練りに練られ過ぎて、もっとシンプルな構成でも良かったのでは?という印象。
それに反してストーリーのわかりやすさと試合内容の良さで第3試合とその試合の二人を選出しました。
ベルトは何も持っていないが、大黒柱として存在するオカダ選手。
オスプレイ選手はオカダ選手を「テストした」と言っていましたが、オカダ選手としては自分抜きのタイトル戦線を他のレスラーがどう盛り上げるのか「テスト」しているのかも知れませんね。
≪END≫
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