
新日本プロレスは国内最高規模を誇る団体だ。収入も、観客動員も、それは揺るぎない。素晴らしい選手も多く、新日本プロレスに入団しそこで活躍するということは、業界を渡り歩く通行手形にもなるだろう。しかし、今ここで危惧されることがある。それは主役の不在である。反則介入を嫌うファンの気持ちはわかる。しかしそれを払拭してくれるだけの期待感を持てる選手がいない。脈々と続いてきた黄金のサイクルが、今、断ち切れている。
スーパースター不在の新日本プロレス
なんやかんや出てきた主役
棚橋弘至もナルシストキャラの時はブーイングを浴びていたし、中邑真輔もケイオスになる前はしょっぱかった。オカダ・カズチカはマスクも運動能力も揃っていたが、外道のアシストに助けられた感もある。内藤哲也はいうまでもなく、ロスインゴ前は今の海野が甘ちゃんに見えるくらい散々な嫌われようだった。
でも皆主役になった。ファンを熱狂させる素晴らしいレスラーになった。そしてこのメンバーの他にケニー・オメガや飯伏幸太もいた。
僕は過去の面々を懐かしみ、嘆いているわけではない。この「誰かが去ったら誰かが出てくる」というサイクルが、今は途切れてしまっているように見えるのだ。
令和闘魂三銃士(海野翔太、成田蓮、辻陽太)の呪い
海野翔太、成田蓮、辻陽太に命名された令和闘魂三銃士という異名。今振り返ると、何か違和感がある。選手の反発やファンの微妙な反応もあれど、あまりにも企画倒れが早すぎた気もする。
2023.06.30
【お知らせ】海野翔太選手、成田蓮選手、辻陽太選手を、“令和闘魂三銃士”として命名
令和になってから活躍がめざましい海野翔太選手、成田蓮選手、辻陽太選手に関しまして、新日本プロレスでは“令和闘魂三銃士”として命名することになりました。(以下略)
これは新日本プロレスの公式リリースである。しかし、2026年はもう名残すらない。ユニットの名残がない、というわけではない。三銃士と言われた先人たちに並ぶような存在がいない、ということである。極端に言えば、辻以外三銃士的なプッシュはされず、トップ戦線にいない、ということだ。プロレスファンの個人的な妄想でしかないが、令和闘魂三銃士の企画倒れから、何かが変わったのかも知れない。
なぜYUTOや藤田はシングルのベルトに恵まれないのか
令和闘魂三銃士にこだわっていないようで、まだそこから抜け出せない呪い。今ファンから支持されているのはYUTOや藤田なのに、彼らがシングルのベルトに到達できない現状。ボルチンだってやり方次第では新日版レスナーのようにビーストになれてもおかしくないが、そういう導線が見えない。上村も今のところG1のTAKESHITA戦が最もヒートしていた気がするし、以後は見せ場はあれど透明人間になってしまっている。
僕は反則介入が悪いとは言わない。プロレスのエッセンスとして、或いはプロレスの成り立ちという観点からみても、勧善懲悪は必要だから。
しかし今「きっと何とかしてくれる」という期待感を持てる主役がいない。
ある意味ヒールがかわいそうだ。
むしろTAKESHITAやオスプレイに「きっと何とかしてくれる」を期待してしまっているファンもいるのかも知れない。二人とも素晴らしいレスラーだが、ファンが一番乗れるのは生え抜きだ。この状況で一番ファンが望むものは、YUTOや藤田のようなレスラーが主役になる、ということではないのだろうか。あまりに単純すぎる意見かも知れない、しかし人間の心理など単純なものだ。旨いものは旨い、だから食う。最近の新日本プロレスはやや味が難しくなってしまっている。しかもその味が海外仕様だったりする。ファンはアサイーボウルよりも単純に旨い玉子かけご飯が食べたいのだ。
今、この記事を書きながら、子供のないものねだりのような内容になってしまったな、と僕自身苦笑している。恥ずかしい限りだ。しかし、特段YUTOや藤田のファンでもないが、ファンが気持ちを込めれる・託せる選手というのはこの二人以外あまり思いつかない。
次なるオカダ、次なる内藤はもういない。ウルフ・アロンも完全にその輪に溶け込んでしまい、ドームの期待感や異色感は過去になった。「誰かが去れば誰かが出てくる、それが新日本プロレス(`・ω・´)キリッ」と新日本プロレスは常々これを口にするが、そのサイクルは今完全に消えかけている。
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