プロレス時評

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感情移入という幸せ

感情移入という幸せ

「感情移入」とは何か?正確な意味はどういうものなのか?

自己の感情を、対象の中に投射して、その対象と自己との融合する事実を意識すること。

(Oxford Languages)

人は様々なものに感情移入します。

アスリートであったり、芸術作品であったり、或いは身近な人の努力であったり。

しかし、感情移入は時に人の気持ちを複雑にさせるものでもある。

昨日6月13日に開催されたrizin28で、多くの人が複雑な感情になったのではないでしょうか。

しかし、その複雑な気持ちはネガティブなものだけなのでしょうか?

 

感情移入という幸せ

ヒーローの敗北

rizin28のメインイベントに登場した朝倉未来選手。

超人気ユーチューバーとしての顔も持つ、総合格闘家です。

YouTubeもSNSも多くのフォロワーを抱え、圧倒的な期待感とともに試合に望みました。

しかし、結果は敗北。

これまで以上にトレーニングに励んだにも関わらず、現実は厳しかった。

SNSなどでは非常に多くのファンの悲しみが見え、彼に対して多くのファンが感情移入していることがわかります。

悔しさ、悲しさ。

しかし、このように深い落胆を経験出来るということは、幸せなことでもあるのではないか、とも思います。

 

内藤哲也

プロレスと総合格闘技を同じ土俵で語ることは出来ません。

しかし、感情移入という点において語るとするのならば、内藤哲也という存在が思い浮かびます。

2018年の東京ドームでオカダ選手に敗北した彼。

2019年二冠を目標に掲げながら、ジェイ選手にIC王座をとられた彼。

この時のファンの悲しみはすごかった。

内藤選手のファンでなくとも、ひしひしとその悲しみや悔しさの感情は伝わってきました。

僕はこう思います。

勝利の歓喜の中で体験するファンからの声援も素晴らしい。

しかし、敗北をした時に溢れるファンの感情もまた、その選手の支持の大きさを現すものではないだろうか、と。

それほど感情移入できる存在があるということは、幸福なことなのかも知れません。

 

自分の気持ちを投射出来る対象がある幸せ

普段気に留めていないことでも、ふとその存在が無くなると妙に気になったりする。

そういった自分に気づくと、その存在になんらかの感情移入していた自分を発見します。

生きていると、様々なものを失う機会が多い。

悲しかったり、悔しかったりすることも多いでしょう。いや、人生はそういうことの方が多いのかも知れません。

しかし、それほど自分の気持ちを投射出来る対象があることは、ある意味「幸せ」なことなのではないでしょうか。

自分の感情が揺さぶられるまで夢中になれることなんて、ありそうでなかなかないですからね。

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