IWGPヘビー級王座とIWGPインターコンチネンタル王座を統一し、IWGP世界ヘビー級王座が新設されました。
飯伏選手の言葉によると、最強の象徴であるIWGPヘビーと、最高の象徴であるIWGPインターコンチの歴史を継承したベルトとのことです。
最強、最高、歴史
こういった概念的な言葉を持ち出すと、危うさも出てきます。
要するに、概念論争が始まってしまうわけです。
「歴史が残る、いや歴史が残らない」
物理的に歴史を残すのか、概念的な意味で残すのか?
未だその答えは出そうにありません。
来年で創設50周年を迎える新日本プロレスには、多くの世代にファンがいます。
2010年代前半から「マニアがジャンルを潰す」という掛け声のもとスターシステムとエンターテイメントに大きく振り切ったプロレスは、時代とマッチし多くの新しいファンを獲得するに至りました。
新日本プロレスワールドの成長もあり、マーケットは既に「世界」になっています。
そんな中突如実行されたベルト統一及び新たなベルトの新設。
ただ一人矢面に立ち批判を浴びている飯伏選手ですが、この批判の大きさは新日本プロレスのハンドリングの甘さだったのかも知れません。
飯伏選手は何も悪くないのですから。
プロレスとは何か
興行とは、契約とは
こういうことを言ってしまうとつまらなく聞こえてしまいますが、プロレスは興行です。
その場で起こった一挙手一投足の展開で成り立っているのではなく、数年先までの計画を立てた上で興行が成り立っています。
それは契約も同じです。
これまでの活躍がどうだったのかも大事ですが、これから自分にどんなミッションが提示されるのか?
その契約内容に納得してサインをするのです。
明らかに強者であるレスラーが一年以上もベルトがない状態でプロレスを続けられるのは、果たすべきミッションがあるから待てるのです。
つまらないことを書いてしまいましたが、こういったことを頭の片隅に置きつつも、目の前で繰り広げられる戦い、魑魅魍魎、喜怒哀楽の世界を楽しむのがプロレスだと思っています。
新日本プロレスのハンドリングは適切だったのか?
今回の飯伏選手に対する批判は、IWGPヘビー級王座が失われてしまうファンの悲しさ、寂しさもあるでしょう。
しかし、新日本プロレスのハンドリングも甘かったのかも知れません。
飯伏選手にそのミッションを与えたのはいいけれど、もう少し運営からのフォローがあっても良かったのではないか?
「何を言ってるのかわからない」
飯伏選手の発言にこう反応するファンも多く、それがファンのフラストレーションになってしまった可能性もある。
統一に至るまでの導線がもう少し丁寧だったら、現在ほどハレーションは起きなかったのではないでしょうか?
飯伏幸太の本当の強さ
飯伏選手に再三「統一後のビジョンを語れ」と言っていた内藤選手。
それは、統一と新設ベルト発表後に起きているファンの反応を予期していたからなのかも知れません。
内藤選手自身もかつて夢を語った際にファンから大ブーイングを浴びてしまう苦い過去がありました。
コロナによって観客の声援が禁止されている今、もしそうでなければかつての内藤選手以上に飯伏選手はブーイングを浴びているのではないか。
ここ数年で数々のタイトルを獲得してきた飯伏選手。
ベルト統一で燃え尽きてしまうのか?
或いはここからが彼の本領発揮なのか?
スーパーベビーフェイスとして期待された彼も、今ではファンにとってスーパーヒールになってしまった。
この展開すら新日本プロレスの想定内だったのかはわかりませんが、ここから飯伏幸太の本当の強さが見れるのかも知れません。
非現実の理想と、現実のギャップ、そして苦悩。
この苦悩を乗り越える様が見れるのも、プロレスの面白さではないでしょうか。
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