矢野通というジャンル
新日本プロレスワールドに新たに追加された
『THE NEW BEGINNING USA 2020年1月24日 アメリカ・St. Petersburg Coliseum(フロリダ州・タンパ) 5試合分』
リング上で躍動するレスラーと、試合を楽しむ観客たちの一体感がそこにはありました。
僕の最も目についた選手、それは矢野通。
矢野通というプロレスラーは、もはやジャンルです。
プロレスに限らず、どんな組織においても「替えのきかない人」はいます。それは独断的にマンパワーでものごとを打開する人というよりは、周囲との調和の中でオリジナリティを発揮する人です。
現在の新日本プロレスにおいて、矢野通ほど替えの効かない役割を果たしてくれるレスラーは稀有です。
少なくとも僕にとっては、もし彼が海外マットに身を移そうとも、その”プロレス”は健在し続けるだろうと思っています。
アマレスの猛者からの卒業
「アマレスエリートはなかなかプロレスでは大成しない」説。
新日本プロレスの歴史をひも解けば、成功したレスラーは一握りでしょう。
やはり、アマレスとプロレスには大きな違いがあります。まったくの別物といっても良いかも知れない。
いくら新日本プロレスがスポーツライクで売っていても、プロレスはキャラクタービジネスでもあります。
そして、プロレスのリングに主人公は何人も要りません。主人公を名乗ることは自由ですが、中途半端なヒーローよりも突き抜けた悪の方が重宝されるのが常。ゆえに、いつまでも夢の中にいては居場所がなくなっていく一方です。
GBHやケイオスで順風満帆なヒールの道を歩んでいた金髪の矢野通が、こんな唯一無二のユニークさを兼ね備えたレスラーになるとは僕には想像できませんでした。
アマレスエリートとして、本気になれば簡単に他のレスラーを圧倒できる力を持ちながら、プロレスのリング上で生きるには「そうではない」ということにいち早く気づき、シフトしたのでしょうか。敏腕プロデューサーは自己プロデュース力もさすがとしか言わざるを得ません。
「曲者」として重要な局面で”彼にしかできないプロレス”で結果を残す存在となった矢野通。
「武藤っぽい」
「内藤っぽい」
のように、その存在がまるでジャンルのように語られるレスラーとして
「矢野通っぽい」
とファンから語られる日は遠くないでしょう。いや、既にそうなっているのかも知れませんね?
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