全日本がWWEと提携?
昨日3月2日にニュースになった
『WWEと全日本が電撃合体か 秋山をコーチで招へい』
という記事。(東京スポーツ)
石澤常光(ケンドー・カシン)や里村明衣子などもコーチに招へいするWWEですが、全日本の電撃合体の話はさておき、彼らは日本のプロレスに何を求めているのか。
パフォーマンスセンターの日本設立もささやかれる中、日プロとアメプロの比較を軸に考えてみましょう。
WWE、NJPW、AEW、and NXT
大きく分かれる三つのプロレス
これは僕なりの見方ではありますが、そのスタイルの違いを大まかに区別するのならば
WWE…エンタメ特化型
NJPW(新日本プロレス)…競技性重視型
AEW/NXT…エンタメ+競技性の混合型
※デスマッチやルチャなども勿論プロレスの大事なジャンルですが、大まかな区別ということで省きます※
となります。NXTに関してはAEWほどエンタメ色は強くないものの、しっかりとしたストーリラインがそこにあり、系統としてはAEWと同系に入るでしょう。
簡単に言うと
アメプロ…エンタメ特化型(ドラマ仕立て)
日プロ…競技性重視(勝敗を重視するバチバチな試合)
とも表現できる。
では、WWEが日本人レスラーをコーチに招へいする=日本のプロレスを欲する理由とは何でしょうか?
NXTという黒船
日プロ…競技性重視(勝敗を重視するバチバチな試合)
と前述しましたが、それはもはや昔の話。
WWEの別ブランドのNXTの試合を観れば、それは一目瞭然。
コンプライアンスの部分で若干の違いはあるものの、その試合の激しさは日プロに引けをとらないものがあります。
プロレスメディアなどで見る試合の評価は、つねに新日本プロレスや日プロが高評価をつけていましたが、NXTの試合も負けじと高評価を獲得しています。
新日本プロレスの台頭、そして実質的にそこから袂を分かつような感じで生まれたAEWの台頭。
これがWWEに火をつけた感じは否めませんが、あくまでも新日本やAEWと争うのはNXTという位置づけです(ここにWWEの圧倒的な余裕を感じますね)。
WWEが日本のプロレスを欲する理由を僕なりに結論づけるのならば
エンタメとして世界最高峰のWWEにあまり干渉しない形で、別路線の世界最高峰のブランドを確立したい
というものでしょう。
いわば、バチバチの路線でも世界最高峰を目指す、ということ。
しかし、そこには簡単にクリアできない壁も存在します。
ショービジネスとスポーツライクの難しさ
安定した視聴率を保ち、興行面でも充実した観客動員を続けているAEW。
新日本プロレスでも馴染のレスラーが多く、試合内容に関しても「勝敗のランキング」をつけるほど競技性を重要に扱っています。
しかし、完全に競技性=スポーツライクに振り切っていないのは、やはりアメプロ(ショー)というものの素晴らしさを広い意味(ビジネス面も含め)で彼らが理解しているからでしょう。
新日本プロレス時代にバレットクラブで内紛劇を作ったAEWの面々(The ELITE)。
しかし、それは日本のファンの関心を集めるというよりも、海外に向けてのコンテンツだった、というのが正確な見方です。
バチバチな試合を好む日本のファンにとって、言語的な壁があったとしてもそういったストーリーは馴染が薄かった。
しかし現在のAEWで評価がうなぎのぼりのコーディを見れば、いかにファン層の違いで盛り上がるか否かがはっきりと見て取れます。
これはアメプロが良い、日プロが良い、という問題ではなく、やはり取れるところでは取れる仕様にスタイルをフィットさせていくことがプロレスというジャンルの基本なのでしょう。
では、WWE/NXTはその牙城をどう崩していくのか?
WWEが日本のプロレスを欲する理由
ビジネスにおいてもっとも簡単で手っ取り早いこと、それは一から作るのではなく取り込む、ということです。
しかし、今回の全日本プロレスとの噂が、プロレスリングノアをWWEが買収しようとしていたということと関連付けるのは早まった見方です。
水面下では全団体と交渉している可能性もありますし。
別の見方をすれば、今回の報道は「我々はあらゆる団体と交渉している」というWWE側のアピールにも繋がりましたよね。
僕は歴史ある全日本プロレスがWWEに取り込まれることはないと思っていますが、経営状況が思わしくない団体や良い選手を抱えていてもあと一手が打てない団体などにとって、このような報道は無視できないものでしょう。
エンタメとして世界最高峰のWWEにあまり干渉しない形で、別路線の世界最高峰のブランドを確立したい
現在NXTは日プロの要素を吸収している段階かも知れませんが、パフォーマンスセンターの日本設立が実現すれば、それはWWE/NXTにとって重要なピースとなることは間違いのないことでしょう。
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