プロレス時評

新日本プロレスとAEWの話題を中心にしたプロレスブログ

WWEを退団したレスラーが新日本プロレスへ関心を持つ理由

WWE⇒新日本参戦の流れ

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WWEを退団したルーク・ハーパーが新日本プロレスへ関心を寄せているという記事をみました。

新日本プロレスの最近の風潮であるWWE⇒新日本参戦の流れ。

勿論新日本⇒WWEというパターンもあるのですが、この記事では元WWE選手が新日本プロレスへ関心を持つ理由を考えてみました。

ストロングスタイルという「箔」

ストロングスタイル幻想

日本の競技性の強いプロレスは、エンタメに特化したプロレスを観ている海外のファンからすれば新鮮です。

そしてまた、その象徴でもある新日本プロレスのストロングスタイルというものは、ファンのみならずレスラーすらひきつける魅力があるのでしょう。

これはよく言われることですが、日本のプロレスを経験すると箔がつく、というようなことがあります。

現在世界でもトップ3に入る団体へと成長し、競技性の強いプロレスに特化すれば世界一の団体となった新日本プロレスに参戦したいと考える選手が増えることは当然でしょう。

自身のキャリアの中に「新日本プロレス」という名前が刻まれることは、レスラーとして誇らしくもあるはずです。

 

ファイトマネー(契約金)

会社の業績が上がり利益が確保できれば、その資金は投資へと流れる。

一種のビジネスの流れですが、ブシロードを親会社に持ち、新日本プロレス自体の業績も好調なので以前よりもスター選手に支払うことが出来る金額はあきらかに変わっていることでしょう。

しかしながら、AEWという巨大資本を背景にした新団体が出来、選手獲得に惜しみなく金を投資する団体も出てきました。

そういった団体がありながらも、クリス・ジェリコやジョン・モクスリーのように「新日本プロレスにも参戦したい」という意識にさせるのは、先ほどの「箔」の話しではありませんが、お金以上の価値が新日本参戦にはあるのでしょう。

そしてまた、WWEのようにガチガチに固められたエンターテイメントショーではなく、選手個々人で自らを自由にプロモーションできるという点も魅力に違いありません。

 

新日本プロレスへ参戦=成功にならないケースも

コーディ・ローズ

WWEを退団し、プロレスの名家出身という自らの血を断ったコーディ・ローズ。

ROH所属となり新日本プロレスでもバレットクラブとして活動していましたが、アメリカンプロレス的な演出が目立ち、結果的に新日本プロレスにフィットしなかったように思えます。

鳴り物入りで入ったスーパースターですら、やはり自分のスタイルを新日本的なものに馴染ませない限り、成功はつかめないのかも知れません。

バレットクラブの知名度と、ケニー・オメガ、ヤングバックスという世界的に人気なレスラーたちとの共闘を経て、結果的にAEWを設立し成功を掴んだわけですが、僕としてはやはりコーディの心の底はアメリカンプロレスがしたいのだろう、という印象です。

昨年の5月に開催されたAEWの興行・ダブルオアナッシング( Double or Nothing )で実兄のダスティン・ローデスとのシングルマッチは壮絶な流血戦になりました。

ダブルオアナッシングのベストバウトとも言えたこの試合のハイライトは、

「僕にはあなた(兄)が必要だ」

というWWEでの不遇を払拭するしようとする弟コーディから兄ダスティンへの感動的な言葉でした。

プロットとリアルがまじりあったこの試合に、僕も大きな感動を覚えました。

しかし、全体を通してアメプロの要素が強く、コーディの本領はやはりこういう場で発揮されるのだろうと思った次第です。

 

そもそも「元WWE」という看板が通じない新日本のファン

「Y2J!Y2J!」

2017年の秋。

新日本プロレスのビックマッチが開催されている会場の証明が暗転し、スクリーンからケニー・オメガとの戦いを電撃表明したクリス・ジェリコ。

その時一部のファンから聞こえたWWEでのクリス・ジェリコのニックネーム

「Y2J!Y2J!」

というのコール。

その一部のファンの興奮を除いては、「なんのこっちゃ?」という雰囲気が会場を覆い尽くしてましたね。

そもそもクリス・ジェリコって誰なの?という雰囲気。

世界一の団体WWEの中でも超有名スーパースターと言っても過言ではないジェリコにすら反応しないファン。

しかしこれが日本のプロレスに馴染んだファンの「通常運転」であり、その言語的な壁だけではなく、そもそもエンタメ色の強いプロレスにほとんどなじみがないということを露呈していました。

日本のプロレスがある程度のテリトリーを守れるのはそういったこともあるでしょうけれど、そういったファンにアメプロでやってきたレスラーが自分を理解してもらうことは容易ではありません。

しかもファンはしびれるような「打撃」「関節」「空中戦」などを今か今かと望んでおり、ファンに向かって不必要なアピールやジェスチャーは望んでいません。

それでも尚、そういったファンの目を跳ね返したクリス・ジェリコは偉大ですし、スタミナに不安を抱えながらも「バイオレンス」というテーマを徐々に浸透させているジョン・モクスリーにはレスラーとしての「プライド」を感じますよね。

過去に日本で活動していたジェリコですが、ファンに媚びず完全に自分を「悪者」と見せるサイコロジーは、一流としか言いようがありません。

大きな金はAEWから、大きな知名度は新日本からという流れ

今後も元WWEスーパースターの新日本プロレス参戦は継続していくでしょう。

しかしながら、それはもしかすると、AEWの戦略でもあるかも知れません。

AEWと契約し、他団体への参戦も許可する。

新日本に参戦すれば、そこで得た知名度をAEWに還元できる。

AEWにとってそれは都合の良いことですし、大物レスラーになればなるほど、「金と知名度」のバランスを「AEWと新日本プロレス」という構造にしていくのかも知れませんね。

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